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執筆者の写真鈴木 ひかり 管理栄養士

管理栄養士が教える!食物アレルギーの原因・症状・食品選びの基本ガイド

更新日:5 日前

タイトル画像

食物アレルギーのヒヤリハット事故。

ゼロにするにはなかなか難しいところ。

ですが

食物アレルギーについて知り学ぶことで

食物アレルギーの方を守ることにつながります。

ということで食物アレルギーのことをまとめました



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1.食物アレルギーはなぜ発症する?


本来ならカラダにとって栄養となるはずの食べ物に対して

過剰に免疫反応が働いて様々な症状が出る状態です。


「免疫って何だったっけ?」


免疫とは外敵から身を守るための仕組みです。


体内に細菌やウイルスなどが一度侵入すると

その外敵に対して抗体がつくられます。


再び同じ外敵が侵入した時に

その抗体を使って

からだを守ったり

抵抗したり

病気を軽く済ませたり

同じ病気にならないようにします。


アレルギーはこの免疫反応が過剰に起こっている状態。


食物アレルギーは

食べ物のたんぱく質に反応して起こります。


ほとんど細かく分解されて吸収されるのですが

ごく一部のアミノ酸が大きい分子のままで吸収されてしまいます。

これは「異物」になるのですが


通常の人はそうした「異物」が消化管から入ってきても

過剰な免疫反応を起こさない「免疫寛容」が働きます


この免疫寛容がうまく働かず

過剰な免疫反応=アレルギー反応が起きてしまいます。


これが食物アレルギーなのです。


食べ物が異物と思われ

過剰な免疫反応が起きて

様々な症状が出る。

これが食物アレルギーが起きる仕組みです。



「不耐症」というものもありまして

有名なのは「乳糖不耐症


牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)が小腸で分泌がされないため、乳糖が消化できず、消化不良、下痢、腹痛、おなら等の症状が出ます。

量をたくさん飲むとお腹を壊してしまうけど、少量なら大丈夫、という方もいらっしゃいますし、ホットミルクやシチューなど温めると大丈夫という方もいらっしゃいます。

体温に近い方がラクターゼの活性が上がること胃腸への刺激が少ないのではないかと言われています。

(参考/長野県医師会「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」


牛乳に含まれる乳糖が消化されないために起こるのが「乳糖不耐症」

牛乳を異物と判断し体に様々な症状を起こすのが「食物アレルギー」


症状が似ている場合がありますが、

症状を起こす過程が異なります。



2.食物アレルギーになりやすい食べ物


食物アレルギーになりやすい

と伝わりやすく書きましたが

正確には

「食物アレルギーの発症事例の多い食べ物」

になります。

令和3年度の調査で


1位 卵

2位 牛乳

3位 木の実類

となり、小麦が4位になりました。


食物アレルギーの原因

<出典>

消費者庁「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」

n=6033(人)

図2 即時型食物アレルギーの原因食物


木の実類で一番多いのは「クルミ」


他カシューナッツ、マカダミアナッツが上位3つです。


また、年齢別ですとこちらの表のとおりです。


年齢別食物アレルギーの原因

<出典>

消費者庁「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」

表2 年齢別原因食物(粗集計)


乳児だと卵が1位だったのが


18歳以上の大人になると小麦1位

年齢別でみると

原因になる食べ物にちがいがあります。


また、前回の令和3年度の調査と比較すると

「クルミ」がかなり増えました。


ただですね。

あくまでこの年代でこの食べ物で食物アレルギーを持っている人が多いというだけで


どの食べ物でも食物アレルギーになる可能性はあります。


一般的に

食物アレルギー患者の多くは乳児期(0歳)に発症するけれど

学童期以降に発症する方もみえます。


そして一般に

乳幼児期に発症した食物アレルギーは

成長に伴い食べ物を食べられるようになることが多く


一方、学童期以降に 発症した食物アレルギーは成長しても

その食べ物はこの先ずっと食べられない方が多いです。

食物アレルギーで原因となる食べ物が食べられないかもしれませんが

他の食べ物で栄養がとれていればOKですし

乳不使用・小麦不使用でも様々な食品が増えていきました!



経口負荷試験といって

アレルギーの原因となる食べ物を

少量ずつ食べて

食べられる範囲を広げ

最終的に解除(制限なく食べられる)を目指す治療が一般的となりました。

こちらは医師の指導のもと行うので

ご自身の判断では行わないでくださいね!



3.食物アレルギーってどんな症状が出る?


令和3年度の調査では

皮膚症状がダントツに多いです。


食物アレルギーの症状

<出典>

消費者庁「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」


では具体的にどんな症状かまとめます。


1位 皮膚症状

  • かゆみ

  • 蕁麻疹

  • むくみ(浮腫)

  • 発赤

  • 湿疹


2位 呼吸器症状

  • くしゃみ

  • 鼻汁

  • 鼻閉(鼻づまり:鼻で呼吸がしにくくなる)

  • 嗄声(かすれた声)

  • 喘鳴(気管が狭くなりゼイゼイ聞こえる)

  • 呼吸困難


3位 消化器症状

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 腹痛

  • 下痢

  • 血便


4位 粘膜症状

  • 結膜充血

  • 涙が出る

  • 咽頭や舌の違和感(口の中のかゆみやのどのイガイガ感)


5位 ショック症状

  • アナフィラキシーショック


よく聞く「アナフィラキシー」とは

皮膚・消化器・呼吸器などの複数の強い症状が同時に起こること。

その中でも

血圧が下がったり

意識障害が起きたりする状態を

アナフィラキシーショックといい

場合によっては命を脅かす危険な症状です。


食べ物を食べてこういった症状が出たら

食物アレルギーの可能性があります。


診断をするのは

医師


お母さんでも管理栄養士でもなく

医師なのです




4.食物アレルギーってどうやって診断するの?


一般的な診断の流れはこちらです。


食物アレルギーの診断方法

<具体的な検査方法>


  • 血液検査(特異的IgE抗体検査)

    クラスが0~6の7段階あり

    クラス0ゼロなら陰性

    クラス1が偽陽性

    クラス2~6なら陽性と診断されます。


    血液だけで調べればいいので簡便なのですが

    陽性の場合でも症状が出ないことがありますし

    また逆に陰性や偽陽性で症状が出ることがあるので

    血液検査だけで正確な診断は正直難しいです。

  • 皮膚プリックテスト

    アレルゲンの試薬を皮膚の上に乗せてから

    針で少し傷をつけて

    そこにできるアレルギー反応を観察する検査です。

    アレルギーがある場合は蕁麻疹が出現します。


    こちらは医療機関により実施できるところ出来ないところがあります。

  • 食物経口負荷試験

    原因アレルゲンの確定診断のために除去していた食物を摂取して

    症状の出現を観察します。

    症状が出れば原因食物確定となります。


    今まで除去していた食物の耐性獲得(食べられるようになったか)を確認するために行う場合もあります。


    こちらは症状が出た時に緊急処置が可能な病院で行うことが原則のため

    医療機関により実施できるところできないところがあります。



多くの場合は

問診と血液検査や皮膚プリックテストで診断されます。

食べて症状が出るか

が一番大事。


血液検査や皮膚プリックテストを参考に

食べて症状が出るか

観察しながら


医師の指導の下

除去や食物経口負荷試験を行い

食べられる量を徐々に増やしていくのが

今の治療の流れとなっています。


少しでも食べられれば

加工品や調味料はOK!


となり料理の幅が広がるのでね。


アレルギーの専門医がいる病院は

「アレルギーポータル」というサイトから検索できます。

他にもアレルギーの症状や検査、災害時の対応などなど

アレルギーに関することが学べます。

気になる方はチェックしてみてください。





5.アレルギーの方を守るために食品表示を要チェック


現在、使用されていることを必ず表示しなければいけない食品は



くるみが令和5年3月に追加されました。


アレルギー表示の改正

表示

用語

品目

義務

特定原材料 (8品目)

えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)

推奨

特定原材料に準ずるもの (20品目)

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン


アレルギーの表示方法は大きく2つ


  1. 個別表示(原則)

    個々の原材料の直後にそれぞれに含まれる特定原材料等を表示する。


    <原材料の表示例>

    • マヨネーズ(卵を含む)

    • チョコレート(乳成分を含む)

    ※ 「乳」については、「乳成分を含む」と表示します。


    <添加物の表示例>

    • キチン(かに由来)

    • カゼインナトリウム(乳由来)


    ※ 「乳」を添加物に表示する場合は、日本語的な意味合いから、「乳成分由来」ではなく、「乳由来」と記載します。


  2. 一括表示(例外的な表示方法)

    食物アレルギー表示は、原則として個別表示となるのですが

    個別表示で表示できない場合や個別表示がなじまない場合は

    一括表示することも可能です。

    一括表示をする場合は、当該食品に含まれる全ての特定原材料等について

    原材料欄の最後(原材料と添加物で事項欄を分けて表示する場合は、それぞれ原材料欄の最後と添加物欄の最後)に

    「(一部に 〇〇・〇〇を含む)」と表示します。

    なお、個別表示と一括表示を組み合わせて使用することはできません。



<原材料と添加物を分けて表示する場合>

名称

チョコレートケーキ

原材料名

準チョコレート(パーム油、砂糖、全粒粉、ココアパウダー、乳糖、カカオマス、食塩)、小麦粉、ショートニング、砂糖、卵、コーンシロップ、乳又は乳製品を主要原料とする食品、ぶどう糖、麦芽糖、加工油脂、カラメルシロップ、食塩、(一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)

添加物

ソルビトール、酒精、乳化剤、膨張剤、香料、(一部に大豆・乳成分を含む)



<原材料のところに添加物を記載する場合>

名称

チョコレートケーキ

原材料名

準チョコレート(パーム油、砂糖、全粒粉、ココアパウダー、乳糖、カカオマス、食塩)、小麦粉、ショートニング、砂糖、卵、コーンシロップ、乳又は乳製品を主要原料とする食品、ぶどう糖、麦芽糖、加工油脂、カラメルシロップ、食塩、(一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)/ソルビトール、酒精、乳化剤、膨張剤、香料、(一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)

他にも

「原材料に含まれるアレルギー物質」ということで

「小麦・卵・乳成分」


とまとめ掲載する食品もあります。


あとはコンタミネーションの注意喚起(以下/コンタミ表示)が任意表示にはなるのですがあります。


同じ工場内で小麦が使用されていたりすると

完全除去できないため

小麦が混入する恐れがあります。


そういったときはコンタミ表示をします。


<表示例>

  • 同じ生産ラインで「卵・乳・えび・かに」を含んだ食品を扱っています。

  • 本品は、卵・乳・カニを含む製品と共通の説部で製造しています。

  • 本品で使用しているしらすは、かにが混ざる両方で採取しています。


原材料を毎回チェックすることが大事です!!


  • 以前小麦不使用で食べることのできた商品もリニューアルして小麦が使われるようになってしまった

  • この味は大丈夫だったから違う味も大丈夫だろうと思っていたら、その味には小麦が使用されていた

なんて場合があるそうです。


原材料を確認して不安があれば

メーカーさんのお客様相談センター等お問合せをして確認することです。

中には表示省略されている場合があるのでね。


確認するときは「食物アレルギーの原因となる食品が使われているか」を

確認するのがポイント


例えば

「小麦アレルギーを持っていますが、この商品を食べて大丈夫ですか?」

と聞いても

「絶対大丈夫」という保証はないので

「控えていただくようお願いしてます」なんて回答が来てしまいます。


「食物アレルギーを持っていますが、この食品使われていますか?」と

確認する方がおすすめです。


食物アレルギーの症状は

人それぞれというところも難しいところです。


最後は食べる・または食べさせるあなたご自身で判断する必要があります。


アレルギーの方や家族でアレルギーがあると

市販の食品を購入するときや

アレルギーをお持ちの友人にプレゼントするときは


必ず購入するたびに原材料をチェックするのが

自分自身や相手を守るために大事ですよー!!


6.日常生活での注意点


<代用食品>

  • 米粉パンが増えていますが、市販の米粉パンや、パン屋さんで販売されている米粉パンの一部は、小麦や小麦グルテンが使用されている場合が多いです。米粉のパン粉もありますが、同様に小麦グルテンが使用されていました。小麦や小麦グルテンが使用されたものを食べてしまうと食物アレルギーの症状が出てしまうので、必ず原材料やアレルギー表示を確認しましょう。


  • 小麦アレルギーの中には醤油がOKな方がいますが、醤油の小麦に反応する方もいらっしゃいます。そういった方は小麦不使用の醤油(小麦不使用の醤油やえんどう豆醤油など)を選んでください。


<外食時>

  • アレルギー対応のメニューの取り扱いのあるチェーン店(ファミリーレストラン等)ありますので、そういったお店を選ぶと安心ですが、公式サイトでメニューを確認したり、口コミをチェックしてください。

  • 個人店はお店に直接確認するのが一番です。


  • 注文時には、スタッフに食物アレルギーの内容を具体的に伝えると、食べられるメニューや原材料を教えてもらえる場合があります。お店により対応は異なると思いますが、どの食べ物で症状が出るのか、食べられるものを伝えられるようにしておくとスムーズです。


  • もし食べられるメニューがなかった時のために、小腹を満たせるものをカバンに入れておくのも1つです。


<宿泊時>

  • 食物アレルギーに対応している宿泊施設を選ぶのが一番良いです。宿泊先の公式サイトに対応している場合は書かれています。対応していないと明記されている場合もありますが、何も書かれていなければ対応されていないことがほとんどです。 わからないときは宿泊先に直接問い合わせて確認しましょう。


  • 宿泊先にポットが置かれていれば、お湯を注いで食べられるものを用意すると便利です。


  • キッチン付きの宿泊施設を選んで自分で調理することもできますが、コンタミネーション(混入)の恐れがあります。コンタミネーションでアレルギーの症状が出る方は避けていただいた方が安心です。


 

食べてみないとわからないのが食物アレルギーの怖いところですが

少しでも食べられれば幅が広がる

食事の楽しさが増える♪


今は代用食品も増えています。


食物アレルギーの人も

そうでない人も

同じものを食べて

美味しいと思う

それが幸せだなと

食事が楽しく感じる瞬間だなと

思っています。


そう思い、お米パンや米粉パンを日々勉強中です。


最後までご覧いただきありがとうございました♡


 
管理栄養士鈴木ひかりのプロフィールイラスト

管理栄養士 鈴木ひかり


  • 管理栄養士歴15年

  • 元行政栄養士(岡崎市保健所にて勤務)

  • 離乳食相談件数1,800件以上

  • 幼児食相談件数1,700件以上


【子どもの食の困りごと】

偏食、好き嫌い、少食、食べむら、

遊び食べ、噛まない等

様々なお悩みをその子その人に合わせた相談にお応えしています。


とよた女性の起業できますproject.ビジネスコンテスト2022

「食農がっこう」審査員特別賞受賞


豊田市育児健康相談・離乳食教室・親子食育講座・パパママ教室等講師

 

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