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グルテンフリー=小麦粉不使用ではない?表示の誤解を管理栄養士が解説解説


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管理栄養士 鈴木ひかりです。


  • 「グルテンフリーって、小麦粉が入っていないってこと?」

  • 「米粉って書いてあれば、安心して食べられる?」

  • 「表示を見ても、正直よくわからない…」


最近よく見かける「グルテンフリー」。

実は、グルテンフリー=小麦粉フリーとは限りません。

今回は、スターバックスの米粉カステラを例にしながら、

グルテンフリー表示の正しい読み取り方と、食べ物を選ぶときの考え方をお伝えします。



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1.グルテンフリーとはどういう意味?


まず、基本から整理してみましょう。


グルテンとは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。

小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が絡み合ってできたもので、小麦粉に水を加えてこねることで、グルテニンの「弾力はあるが伸びにくい」性質と、グリアジンの「弾力はないが粘着力が強くて伸びやすい」性質が結びつき、こねればこねるほど弾力と粘り気のある生地ができあがります。

グルテンはパンやケーキの「ふわふわ」「もちもち」した食感を生み出しています。


グルテンフリーとは、「グルテンを含む食品を食べない食事法」のこと。

ここで大切なのは、

グルテンフリー = 小麦粉が一切使われていないとは限らない

という点です。

グルテンフリー≠小麦粉不使用


2.グルテンフリーの始まりは「セリアック病」


もともとは、グルテンを食べるとお腹や身体に不調が出る、セリアック病グルテン過敏症という病気の治療法として始まりました。

セリアック病は、遺伝性の自己免疫疾患で、「グルテン」に異常反応を示し、自己免疫系が小腸の組織を攻撃することで炎症が起き、小腸の細胞が破壊されてしまう病気。

その結果、栄養素の吸収が低下したり、腹痛や下痢、倦怠感など、さまざまな症状がでます。

このような病気の人はグルテンを食べ続けると腸が傷つき、栄養をうまく吸収できないため、完全に避ける必要があります。


グルテン過敏症(グルテン不耐症という場合があります)はグルテンに過敏に反応し体に不調をきたす病気もあり、グルテンフリーが有効な場合があります。


小麦アレルギーの方にも「グルテンフリー」は食品を選ぶ判断基準になる場合もあります。


【関連記事】

食物アレルギーとは


他にも腸内環境や食べ物の消化について意識する人が増え、グルテンフリーが注目されていますが、一般の人でのグルテンフリーによる体調や体質改善の科学的根拠は十分でありません。

セリアック病イメージ図
※画像はあくまでセリアック病のイメージ図です


3.「小麦粉不使用」と「グルテンフリー」はちがう


混同されやすい言葉に、次の2つがあります。


  • 小麦粉不使用

  • グルテンフリー


小麦粉不使用→ 原材料に小麦粉を使っていない

グルテンフリー→ グルテンが含まれていない

つまり、米粉を使っていても、製造工程で小麦やグルテンが混入する可能性があれば「完全なグルテンフリー」ではないこともあります。


中にはしょうゆ白だしを使っている場合がありますが、それらのもとの原材料で小麦が使われているのです。

そうするとグルテンフリーとは言えません。


米粉のパン粉をスーパーで見かけ、テンションが上がって原材料を見ると「小麦グルテン」が使用されている場合もあります。

それも小麦粉不使用ですが「グルテンフリー」とは言えませんね。

難しい問題です。

小麦粉不使用とグルテンフリー



4.事例:スターバックスの米粉カステラ


今回の事例として取り上げるのが、

スターバックスの「米粉カステラ(グルテンフリー)」です。


当初、「グルテンフリー」と謳って米粉カステラと米粉カステラ(抹茶)を販売予定でした。

麦アレルギーをお持ちで、名古屋で「みちのり亭」「みちのり弁当」とグルテンフリーのお店を出すなこさんが原材料をみるなかで、グルテンフリーなのかどうか気になり問い合わせているというのをインスタライブで伺っていました。


問い合わせの結果、2025年12月25日にお返事が返ってきたと伺い、

ネットニュースにも上がっていました。


こちらはスターバックス公式ホームページを一部引用いたしますと

原材料の一部に微量に大麦麦芽が含まれていることが分かったため、販売中止に至ったとのこと。


なこさんの話から

「もち米あめ」など「米飴」と表示されていても、米飴を作る過程で大麦麦芽が使われることが多いんだとか。

なこさんは実際に米飴が使われた商品を食べてアナフィラキシーショックを起こしたことがあるため、気になって問い合わせたそうです。



販売中止は残念でしたが、販売して事故が起こる前に防げたことはよかったです。

日本には明確な基準がないからこそ「グルテンフリー」の難しさを実感しました。


スターバックスさんは今後もグルテンフリーに挑戦してほしいです。

ぜひ販売してほしい。



5.どんな人がグルテンに注意が必要?


グルテンに注意が必要な方は、次のような方です。

  • セリアック病や腸疾患など、医師からグルテン除去が必要と言われている人

  • 小麦アレルギーがある人


一般の方は必ずしもグルテンフリーにする必要はありませんが

  • なんとなく小麦を控えたい

  • 体調に合わせて選びたい

そんな方にはは、「グルテンフリー」という選択がひとつの目安になるかもしれません。


日本には明確な基準がありませんが、

米国食品医薬品局(FDA)はグルテンフリー表示の要件について、

規則の中で次の通り定義しています。

「グルテンフリー」というラベルを表示する食品は、(1)~(2)のいずれかを満たすものを意味する。


 (1) 以下のいずれも含有していないもの。


 ア.グルテン含有穀物である原料(スペルト小麦など) 


 イ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されていない原料(小麦粉など)


 ウ.グルテン含有穀物に由来しグルテン除去処理が施されている原料で(小麦でんぷんなど)、食品中のグルテンを1キログラム当たり20ミリグラム以上とする原料


(2) 本質的にグルテンを含有しないもの。



 なお、原料にグルテンがやむを得ず含有する場合、食品中のグルテンは1キログラム当たり20ミリグラム未満であるものとする。



6.表示は「正解探し」ではなく「判断材料」


行政で食品表示を見てきた立場から感じるのは、


表示は「食べていい・ダメ」を決めるものではなく

判断するための材料



  • 自分や家族の体調

  • どこまで避けたいか

  • どんな目的で選ぶのか


を踏まえて、自分のものさしで選ぶことが大切です。

セリアック病や小麦アレルギーの方にとっては

「グルテンフリー」と書いてあると選ぶ判断材料になりますよね。


「グルテンフリー」と書いてあるから安心、

「小麦が入っているから絶対NG」


原材料をよく確認すると原材料の奥にグルテンが隠れている場合があります。

※あくまでわたくし個人の見解ですが、個人がやっているお店は特に注意が必要です。

知識が不十分で小麦を使用していないから「グルテンフリー」と謳う場合があります。



今回のように原材料の奥にある「大麦」に気づけない場合もあるので

注意が必要ですし

知識も必要だなと感じています。

それは購入する消費者も

製造する生産者も。


注目され、「グルテンフリー」と書けば目に留まる。

ただ、

小麦粉を使っていないから「グルテンフリー」というわけではないこと。


「グルテンフリー」の意味を知って、選択していきましょう。


表示は判断材料

ご覧いただきありがとうございました♡


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管理栄養士 鈴木ひかり


  • 管理栄養士歴16年

  • 元行政栄養士(岡崎市保健所にて勤務)

  • 子どもの食事相談数4,000件以上


【子どもの食の困りごと】

偏食、好き嫌い、少食、食べむら、

遊び食べ、噛まない等

様々なお悩みをその子その人に合わせた相談にお応えしています。



とよた女性の起業できますproject.ビジネスコンテスト2022審査員特別賞受賞

GIRAFFES JAPAN2024 セミファイナリスト


豊田市親子食育講座講師


【鈴木ひかり主催教室・セミナー】

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©Clair Hikari Suzuki

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